欲望ベクトル理論 ― 人間行動から社会・文明を読み解く


出版日:2025年9月30日


人間はなぜ働き、争い、協力し、愛し、そして生きる意味を探し続けるのでしょうか。経済格差、戦争、環境破壊、文化摩擦、老いと死 ― 現代社会にあふれる多様な問題は、一見すると互いに無関係な出来事のように見えます。しかし本書は、それらすべてを貫く一つの視点として「欲望ベクトル理論」を提示します。

欲望は単なる感情ではありません。人間の行動を生み出す力であり、方向と強さを持つ“ベクトル”として捉えることができます。人はそれぞれ異なる欲望の方向を持ち、その強さもまた人によって異なります。個人の中でも複数の欲望が共存し、時間とともに変化していきます。そして無数の個人の欲望ベクトルが重なり合うことで、社会、国家、文明の動きが形づくられていきます。

貧富の差や貧困は、資源や機会を求める欲望ベクトルの偏りとして理解できます。戦争や紛争は、異なる欲望ベクトルが調整されないまま衝突した結果として現れます。環境問題は、短期的な利益を求める欲望と長期的な生存を求める欲望の対立として説明できます。宗教や文化の摩擦もまた、人間の自己認識や価値観に根ざした欲望ベクトルの交差によって生まれます。

本書は、こうした多様な問題を断片的に扱うのではなく、経済・社会・環境・文化・人間という五つの領域に分け、欲望ベクトルの観点から体系的に考察します。個人の内面から地球規模の課題に至るまで、同じ原理で理解できるという視点は、複雑に見える現代社会に新たな見通しを与えるでしょう。

さらに本書は、問題の説明にとどまりません。欲望ベクトルは衝突するだけでなく、調和することもできます。方向を変え、強さを調整し、共存の仕組みを作ることで、人間はより豊かな社会を築くことができるのです。老いや死さえも、欲望ベクトルの終わりではなく、新しい意味や価値への転換として捉え直すことができます。

断片的な理解を超え、世界を一つの視点で見通したい人へ。本書は、人間と社会を読み解くための新しい思考の道具を提示します。欲望という最も身近で根源的な力から、私たちの生きる世界を見つめ直す一冊です。


目次


はじめに


総論


第1章 人生と欲望:人間行動の基本原理

第2章 欲望ベクトル理論の枠組み

第3章 ベクトルの合成と衝突:個人から社会へ

第4章 「独立した問題はない」という原則


各論


第1部 経済的問題

第1章 貧富の差と経済格差

第2章 貧困問題

第3章 資源争奪と経済危機

第4章 労働と金融不安


第2部 社会的問題

第1章 戦争と紛争

第2章 人種差別と民族問題

第3章 移民と難民

第4章 政治的対立と権力闘争

第5章 教育格差

第6章 医療問題・健康格差


第3部 環境的問題

第1章 気候変動と環境破壊

第2章 公害と廃棄物問題

第3章 生態系の破壊


第4部 文化的問題

第1章 宗教対立

第2章 価値観の衝突

第3章 都市化と地方衰退

第4章 メディアと情報操作

第5章 文化摩擦と自己認識

第6章 科学技術と倫理


第5部 人間的問題

第1章 欲望と欠乏感度

第2章 自己実現と限界

第3章 人間関係と承認欲求

第4章 家族と共同体

第5章 老いと死

第6章 幸福と生きる意味

終章 欲望ベクトル理論の展望


あとがき