出版日 2026年2月15日
紹介文
世界は静かに、しかし確実に不安定になっている。
ウクライナ戦争、台湾有事の可能性、核恫喝、指導者たちの予測不能な発言。ニュースは溢れているのに、私たちはなぜか全体像を掴めない。専門家は語る。しかし語るたびに結論は揺れ動く。未来は誰にも見えていない。
本書『世界を読むAIと私 — 超大国、戦争、秩序の未来予測』は、その不確実な時代において、一つの大胆な試みから生まれた。専門家でも外交官でもない一人の思考者が、AIという知の装置と向き合い、問いを重ね、超大国の心理と構造を徹底的に掘り下げた対話の記録である。
本書は予言書ではない。未来を断言するものでもない。むしろ、未来は本質的に読めないという立場から出発する。しかし、読めないからこそ、考え抜く価値がある。プーチンはなぜ核を「使わずに使う」のか。習近平はなぜ台湾に執着せざるを得ないのか。トランプの言動は計算か衝動か。そこにあるのは国家戦略の問題だけではない。恐怖、正統性への焦り、屈辱の記憶、弱く見られることへの恐れといった、人間的で極めて生々しい心理の構造である。
国家は理性の装置ではない。国家は物語に依存し、指導者の感情に引きずられ、誤算によって戦争へと滑り落ちる。本書は、軍事力やGDPの比較ではなく、「国家を動かす心理」に焦点を当てることで、現代世界の危うさを浮かび上がらせる。核抑止の本質、同盟の意味、日本が置かれた地政学的現実、そして秩序の再編。そのすべてを、AIとの対話を通じて、徹底的に思考する。
特筆すべきは、本書が「情報の民主化」という時代精神そのものを体現している点である。かつて国際政治の分析は専門家の専売特許だった。しかし今や情報の到達速度に大きな差はない。残るのは、問いの質と推論の深さである。本書は、AIと人間が協働することで、専門家に依存しない思考の可能性を示す。
世界はどこへ向かうのか。戦争は拡大するのか、それとも抑止されるのか。超大国は衰退するのか、それとも変質するのか。本書は答えを押し付けない。むしろ読者自身に問いを手渡す。未来を読むとは、結論を得ることではなく、構造を理解することだからだ。
不確実な時代において最も危険なのは、無関心である。本書は、世界を他人事にしないための一冊である。AIと人間の対話が切り拓く、新しい思考のかたちがここにある。
目次
序章 AIと共に世界を読む時代
0.1 なぜ素人が世界を語ってよいのか
0.2 AIとの対話が思考を変える
0.3 情報の民主化が国際政治を変える
第1章 超大国の舞台 — 世界秩序の構造とは何か
1.1 世界は「互いに依存しながら対立する」仕組み
1.2 力の源泉:経済、軍事、情報、そして物語
1.3 国家は何によって動き、崩れるのか
1.4 帝国の興亡が常に繰り返される理由
第2章 アメリカ — 支配者か衰退者か
2.1 米国の強さの本質は軍事ではなく“同盟ネットワーク”
2.2 内部分裂と疲労する民主主義
2.3 トランプの登場が示す「帝国後半の症状」
2.4 アメリカは覇権を維持するのか、再定義するのか
第3章 中国 — 成長の終わりか膨張の始まりか
3.1 経済と権威のゆがみが内側から国家を蝕む
3.2 習近平の恐怖と国家の神話
3.3 台湾は「統一の夢」か「崩壊の引き金」か
3.4 中国はどこで誤算を起こすのか
第4章 ロシア — 核恫喝の帝国とその限界
4.1 プーチンは何を恐れ、何を求めるのか
4.2 核の影と西側の譲歩の歴史
4.3 ロシアが負ける条件とプーチン後のロシア
4.4 ロシアは誰に従属していくのか
第5章 ヨーロッパ — 歴史の舞台から再び降りるか
5.1 EUの統合は力か脆さか
5.2 ドイツ・フランスの弱さの理由
5.3 NATOの復活と東欧の台頭
5.4 大陸国家が世界の主役に戻れるか
第6章 日本 — 地政学の十字路に立つ国家
6.1 台湾有事に引き込まれる構造
6.2 日米同盟の本質と限界
6.3 日本がすべき抑止戦術
6.4 「思想の弱さ」が最大の安全保障リスク
第7章 戦争は起きるのか — 台湾、ウクライナ、中東
7.1 台湾侵攻は現実か幻想か
7.2 プーチンはどこで止まるのか
7.3 イランと核、中東の火薬庫
7.4 多正面戦争の連鎖か、局所的停戦か
第8章 核と恐怖 — 現代の抑止理論の再発見
8.1 核は使われないのか、それとも使えるのか
8.2 恐怖が国家を動かす仕組み
8.3 核保有国同士の世界は安定するのか
8.4 軍事より重要なものとしての“心理”
第9章 指導者と国家心理 — 恐怖を使う人間たち
9.1 プーチンと習近平の恐怖構造
9.2 トランプの計算と弱さ
9.3 指導者の誤算が招く戦争
9.4 権力者の心理が世界を動かす
第10章 秩序の再編 — 勝つ国と沈む国はどこか
10.1 国家の寿命と秩序の代謝
10.2 中国、アメリカ、ロシア、日本の運命
10.3 戦争のない未来とは何か
10.4 経済とAIが秩序構造を変える
終章 AIと人間がともに未来を想像するということ
あとがき