AIを知るためのコンピューターの仕組み ― 計算と記憶がつくる知能の世界


出版日:2025年10月9日


紹介文

本書『AIを知るためのコンピューターの仕組み』は、人工知能という現代社会の象徴的な存在を理解するために、その土台となる「コンピューターの本質」から出発する一冊です。AIはしばしば、人間のように考え、理解し、会話する存在として語られます。しかし、その正体を丁寧にたどっていくと、そこにあるのは神秘ではなく、きわめてシンプルな原理 ― 計算と記憶 ― であることが見えてきます。本書は、このシンプルな出発点から、読者をAI理解の核心へと導いていきます。

まず本書では、コンピューターの最も基本的な構造である「0と1」の世界から話を始めます。電気のオンとオフという単純な状態が、どのようにして数値や文字、さらには画像や音声へと変換されるのか。その仕組みを知ることで、コンピューターが魔法の箱ではなく、論理と物理に支えられた装置であることが理解できます。ここで得られる視点は、AIに対する過剰な期待や漠然とした不安を取り除き、冷静に技術を見つめるための基礎となります。

次に、コンピューターのもう一つの柱である「記憶」に焦点を当てます。磁気、電気、光といった物理的な仕組みによって、機械がどのように情報を保持し続けるのかを平易に解説し、記憶容量と計算速度が技術の発展をどのように支えてきたかを明らかにします。巨大なデータを扱えるようになったとき、コンピューターは単なる計算機から、言語や知識を扱う装置へと変化しました。この変化こそが、AI誕生の前提条件だったのです。

さらに本書は、言語処理の仕組みを通じて、AIが「理解しているように見える理由」を解き明かします。AIは意味を理解しているのではなく、膨大なデータから次に現れやすい言葉を予測しているにすぎません。それでも私たちがそこに理解や意図を感じてしまうのは、人間が言葉に意味や心を見出す存在だからです。AIの限界を知ることは、人間の思考や理解の特性を見つめ直すことにもつながります。

本書は、AIを賛美するための本でも、恐れるための本でもありません。技術の正体を正確に知り、その可能性と限界の両方を見極めるための本です。コンピューターの仕組みを理解することは、AIを理解する最短の道であり、同時に「人間とは何か」という問いへと読者を導く旅でもあります。AI時代を生きるすべての人に向けた、知的探究の入口となる一冊です。


目次  


序章 なぜAIを理解する前にコンピューターを学ぶのか  

– AIの本質は「拡張されたコンピューター」  

– 計算と記憶の二本柱  

– コンピューターを知らずしてAIは語れない  


第1章 コンピューターの基本構造  

1. 電気とスイッチ―0と1の世界  

2. 2進法による計算の仕組み  

3. ハードウェアとソフトウェアの役割  


第2章 記憶する機械  

1. コンピューターにおける「記憶」とは  

2. RAMとその特徴(揮発性・充電による保持)  

3. SSDと電子閉じ込め  

4. 磁気記録(HDD)、光記録(CD/DVD)  

5. 長時間安定して0と1を保持する工夫


第3章 コンピューターの二大機能  

1. 計算機としての働き  

2. 記憶装置としての働き  

3. 「計算と記憶」だけで成り立つ世界  

4. コンピューターの能力を決める要素―速度と容量  


第4章 スーパーコンピューターとは何か  

1. 普通のコンピューターとの違い  

2. 並列計算と膨大な記憶  

3. それでも本質は「計算と記憶」  


第5章 AIの登場  

1. AIもコンピューターの延長である  

2. 学習データの記憶と利用  

3. 確率で次を予測する仕組み  

4. 「理解しているように見える」現象の正体  


第6章 AIと人間の対話  

1. 出入力を文章にする発想の歴史  

2. なぜ高速に答えられるのか(並列処理・最適化)  

3. スーパーコンピューターを使うAIと、日常のAI  


終章 コンピューターとAIの連続性と違い  

1. コンピューター:計算と記憶に特化した機械  

2. AI:大量の記憶を活用し、人間の言語を扱うしくみ  

3. 本質は同じだが、「人間らしさ」を演出する点で違う  


あとがき