理系崩壊と国力低下の真実 ― 日本の生き残りは科学技術だけ


出版日:2025年11月25日


紹介文

日本は本当に豊かな国なのだろうか。街には商品があふれ、生活は便利で安全に見える。しかしその豊かさは、静かに、そして確実に揺らぎ始めている。本書は、日本の将来に横たわる最大の危機を直視するところから始まる。その危機とは、少子化でも財政赤字でもない。「理系離れ」と「科学技術力の衰退」である。

資源を持たない日本にとって、文化的で豊かな生活は自然に与えられるものではない。日本の繁栄は、他国が欲しがる価値を生み出すことで成り立ってきた。そして、その価値の中心にあったのが科学技術である。高品質な工業製品、精密機械、半導体製造装置、ロボット、光学機器 ― 日本が世界で尊敬されてきた理由は、卓越した技術力にあった。しかし今、その基盤が崩れ始めている。

1980年代、日本は世界の頂点に立っていた。だが情報技術の進展により、技術の模倣は容易になり、中国や韓国は国家戦略として科学技術を徹底的に強化した。一方、日本では理系志望者が減少し、研究費は伸び悩み、技術者の社会的評価も低下している。技術立国としての自覚が失われつつあるのである。

本書は、経済の本質から出発し、「価値は他者が欲しがるものだけが金になる」という現実を確認する。そして、資源を持たない日本が生き残るための条件は、卓越した科学技術を維持し続けることしかないという結論へと至る。観光やサービスだけでは国家の豊かさは支えられない。国を支えるのは、世界が求める高度な技術なのである。

さらに本書は、なぜ理系人材が減り続けているのか、なぜ国家としての危機感が共有されていないのかを分析し、日本が再び技術立国として立ち上がるために必要な政策、教育、社会の意識改革を具体的に提示する。科学技術は自動的には育たない。強固な意志と長期的な投資がなければ失われていく。

これは悲観の書ではない。日本が再び立ち上がるための条件は、まだ残されている。本書は、日本が未来世代へ文化的な生活を引き継ぐために何を選択すべきかを問いかける、警告であり提言である。科学技術こそ国力であるという事実を、今こそ直視しなければならない。


目次


序章 経済とは何か―“価値を作り、交換する”という最低限の現実

0.1 人は自分に必要なものを得るために働く
0.2 生まれた場所によって富が偏在する
0.3 資源のある国とない国の決定的な差
0.4 「金は持っている人からしか得られない」という事実
0.5 努力ではなく“他者が欲しがる価値”が金になる
0.6 経済の本質は需給と交換である


第1章 日本は最初から“資源のない国”としてスタートした

1.1 日本が生まれながらに抱える弱点
1.2 出稼ぎをしない国民性が生んだ戦略
1.3 資源がない国が豊かになるための唯一の方法
1.4 日本の成功は科学技術に依存していた


第2章 1980年代の黄金期―日本が世界を席巻できた理由

2.1 日本企業が世界を驚かせた“質と精度”
2.2 中国・韓国がまだ追いつけなかった時代
2.3 日本の技術者が世界最高と言われた根拠
2.4 高度成長の裏にあった国民性と勤勉さ


第3章 技術の凋落―中国・韓国の追い上げ、日本の停滞

3.1 情報技術の進歩が“真似”を容易にした
3.2 中国の狡猾さ・スパイ活動・国家を挙げた技術吸収
3.3 韓国の猛追と国策企業の強さ
3.4 半導体で敗れた日本―韓国・台湾との差
3.5 日本の強みが徐々に奪われている現実


第4章 理系離れという“国家の根幹を揺るがす危機”

4.1 理系志望者が減り続ける理由
4.2 試験偏重と暗記文化の弊害
4.3 技術者を軽んじる社会構造
4.4 医者は増えても技術者が減る矛盾
4.5 若者が技術分野に進まない危険性
4.6 このままでは日本は技術を失う


第5章 日本が生き残るための“最後の武器”は何か

5.1 半導体製造装置―世界で抜けない分野
5.2 ロボット工学・精密制御の可能性
5.3 新素材・高機能化学が持つ潜在力
5.4 医療機器・光学技術という独自の強み
5.5 観光・食では国を支えられない理由
5.6 科学技術だけが日本の生存戦略である


第6章 国は本当に危機に気づいているのか

6.1 文系に偏る教育政策の誤り
6.2 技術立国の自覚が薄い政府
6.3 中国の国家戦略との圧倒的な差
6.4 国が動かない間に日本の凋落は進んでいる
6.5 科学技術投資を怠った国の末路


第7章 日本の未来―“作らなければ国は沈む”

7.1 若者を理系へ誘導する現実的政策
7.2 企業・大学・国家の役割
7.3 科学技術立国としての再生シナリオ
7.4 日本人が文化的に生き続けるための唯一の道
7.5 日本が生き残るために必要な社会の覚悟


終章 科学技術こそ国力である―未来世代への警告と希望

E1 経済の本質は作る力
E2 技術なき国は豊かさを失う
E3 日本が再び立ち上がる条件
E4 次世代へ残すべきメッセージ


あとがき