出版日:2025年8月22日
紹介文
AIが「人間を超える」と語られる時代に、私たちはどこまでを事実として受け取り、どこからを幻想として退けるべきなのでしょうか。本書『AIとは何か ― 人間が作った「心なき知性」の正体』は、技術礼賛でも恐怖の煽りでもなく、AIを“冷静に道具として理解する”ための一冊です。著者は専門家ではありません。だからこそ、数式や難語に寄りかからず、日常の感覚に引き寄せて「AIは結局何者なのか」を整理します。
AIは確かに強力です。膨大なデータを抱え、驚くほど速く処理し、人間らしい文章や画像さえ生成します。しかし、その“賢さ”は人間の心の延長ではありません。AIは意思を持たず、意識を持たず、責任を負いません。理解しているように見えるのは、過去の情報から「もっともそれらしい出力」を推定する仕組みが高度になったからです。本書は、AIを特別視する視線をいったん解体し、コンピューターの本質 ― 計算とは何か、記憶とは何か、速度と容量が何を意味するのか ― へと立ち返ります。その上で、AIがなぜ人間より優れて見えるのか、模倣できる範囲とできない領域はどこかを、段階的に明らかにします。
さらに本書は、「AIに心はあるのか」という問いを正面から扱います。創造性に見えるものは何なのか。突飛な発想は真の独創なのか、それとも再構成なのか。ニーチェのように“問いそのものを生み出す”思考は可能なのか。こうしたテーマを通して、AIの限界を貶めるのではなく、人間の側に残る役割 ― 価値判断、責任、倫理、そして他者への配慮 ― を浮かび上がらせます。
AIが社会に浸透するほど、「判断を委ねてよいのか」「意志は誰が組み込むのか」という問題は避けられません。仕事、教育、医療、芸術、法と倫理。便利さの陰で、私たちが手放してはならないものは何か。本書は、AIを恐れず、盲信せず、主体的に使いこなすための視点を提供します。読み終えたとき、AIが“心ある存在”ではなく“心なき知性”として位置づけ直され、人間として何を担うべきかが静かに見えてくるはずです。
目次
はじめに
1. AIに過剰な幻想を抱かないために
2. 本書の立場:非専門家による現実的な考察
第1章 AIの正体
1. AIとは何か―定義と歴史
2. AIとコンピューターの違いはあるのか
3. ソフトウエアとしてのAI
4. 人間の知能との比較
第2章 コンピューターの本質
1. 計算力とは何か
2. 情報保持能力とその限界
3. スピードと記憶量が意味するもの
4. 結局、ソフトウエアがすべてを動かしている
第3章 AIはなぜ人間より優れて見えるのか
1. 高速処理の利点
2. 膨大なデータからの推論
3. 「学習」の正体―過去データの応用
4. AIが人間を模倣できる範囲と限界
第4章 AIに「心」はあるか
1. 意思と意識の不在
2. 創造性(Creativity)はあるのか?
3. ニーチェ(Nietzsche)のような思考は可能か
4. 突飛な発想は“意外性”か“再構成”か
第5章 AIを使いこなす人間の責任
1. 意志は誰が組み込むのか
2. AIが社会に与える影響
3. 人間が判断を委ねてよいのか
4. 「指示する能力」の重要性
第6章 AIと未来の社会
1. 仕事の置き換えと創出
2. 教育・医療・芸術におけるAI
3. AIと倫理、法、責任の所在
4. 「人間らしさ」とは何かを問う
おわりに